G&U技術広報誌vol.14

41 2025 vol.14 G&U 能登半島地震における被害状況と復旧に向けた取組 するとともに、被災された方にあらためてお 見舞い申し上げます。 支援室の活動を振り返ると、目の前の復旧 と向き合う一方で、総合土木としての地域デ ザインと言いますか、道路や堤防をどうする というところから上下水道を考えることにも なりました。初動期には電気や通信との兼ね 合いもありますし、災害対応においては幅広 く物事を捉えることが大切だとあらためて実 感したところです。 現地での経験については、多少なりとも皆 様の参考となるように、ガイドラインなりレ ポートなりをまとめたいと考えています。そ れを含めて、これからも早期の復旧・復興、 また災害への備えに取り組んでまいります。 小川 国総研の本業は研究ですので、復興支 援室は現地で調査研究も行っています。これ から山上室長を中心に取りまとめていく成果 物は、きっと今後の災害を考えていく上で貴 重な情報となるはずです。ぜひご注目くださ い。 ――ありがとうございました。 P R O F I L E【おがわ・ふみあき】 京都大学大学院工学研究科環境地球工学専攻修了。平成5年建設省(現国土交通省)入省後、平成29年土木研究所上席研究員(水質チーム)、令和 元年日本下水道新技術機構研究第一部長兼企画部長、4年国土技術政策総合研究所下水道研究部下水道研究官、6年4月より現職。兵庫県出身。 P R O F I L E【やまがみ・くにひろ】 中央大学大学院理工学研究科土木工学専攻修了。平成26年国土交通省入省、令和2年三浦市上下水道部下水道担当部長、4年4月日本下水道事 業団西日本設計センター計画支援課課長代理、6年4月より現職。東京都出身。 開閉用バール提供に奔走 ると相談を受けたこともあります。 事業体の苦労:支援に入られた 事業体の方々と接していて、 そのご苦労を思いました。正月早々の発 災でしたから、十分な準備時間も取れず に駆け付けた方も多い。また慣れない積 雪の中での作業は大変だったはずです。 13日、金沢では急に雪が強くなっ てきました。雪の中での作業 にはタオルや軍手が必要で、それを急い で準備して、段ボールに詰めて、いくつ かの事業体の詰所に届けました。段ボー ルには社名は書かず「がんばってくださ い」とだけ書いて、こっそり置いて帰り ましたが、後日その役所の方からお礼を 言われて。わざと可愛い字でごまかした つもりでしたが、事業体の方々も、ちゃ んと我々を認識してくれていたのですね。 アクセスの悪さ:支援事業体さ んの一番のご苦労は、被災 現場までのアクセスの悪さです。金沢か ら10時間かかったという話も聞きまし た。渋滞や降雪が重なれば、現場で作業 できる時間はほとんどありません。また 現場の近くに宿がなく、やむを得ず金沢 から通ったという事業体さんも少なくな いと聞いています。 課題:能登半島はこれまでもた びたび地震が起きていて、 マンホールトイレなどの事前対策が指摘 されています。 防災意識の向上:一方、被災し た従業員も多く、防災意識 は高まりました。震災後は水や食料の備 蓄を増やしたり、災害・事故に備えて、 天気予報など、全員で安全確認を実施す るようになりました。また、バールは震 災前は備蓄ゼロでしたが常備するように しました。そのおかげで昨年(令和6年) 9月の豪雨の時には、事業体からの要請 に、すぐに貸し出すことができました。 現在も継続して常備しています。 総括:バールは、下水道管調査に は欠かせません。今回の支 援活動は、バールの常備や安全確認の強 化につながりました。その他多くの学び を、今後の災害対応に活かして参ります。 以上、日之出水道機器㈱ 北陸営業所 根本顕永氏(発災時所長、現中部支店)、 所長 井上強太氏 談 保管されているバール

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