Close UP Part 1 下水道用マンホール蓋規格改正「JSWAS G-4-2023」 10 2023 vol.13 G&U 第7条の二(公共下水道の維持又は修繕)が 新設されました。これに関連して、下水道法 の施行令および施行規則において、「公共下 水道又は流域下水道の維持又は修繕に関する 技術上の基準等」も規定されました。これら の法律上の観点からも、管渠やマンホールと 同様、マンホール蓋に対しても新たに防食性 能を規定化する必要があったと考えています。 実地試験もとに防食性能の有効性を確認 使用実態考慮し、傷のある状態での試験も ――防食効果はどのように評価・確認したの でしょうか。 (一社)日本グラウンドマンホール工業会 が行った腐食環境下での実地試験結果を確認 しました。一般塗装のマンホール蓋と、防食 性能を有する蓋(防食蓋)をⅡ類相当の箇所 に設置した場合、一般塗装の蓋には明らかに 減肉を伴う腐食が見られた一方で、防食蓋に 著しい腐食は見られませんでした。このこと から、少なくともⅢ類相当の防食性能で有効 であると評価しました。 一方、現場ではマンホール蓋の開閉時に生 じた傷から腐食が進行することも想定されま す。こうした使用実態を考慮し、塗装した後 に表面に傷を付けた供試体による防食試験の 結果も確認しました。この試験に関しては、 「参考資料」という扱いで規格に掲載してい ます。試験では、防食塗装を施した供試体に 傷を付けた場合と、防食性能がない一般塗装 の供試体に傷を付けた場合を比較しました。 その結果、後者には明らかな赤錆の発生が認 められました。 また、腐食の進行状況を確認する1つの方 法として、マンホール蓋に付けた傷により母 材から溶出する鉄イオン量を計測した結果も 確認しました。鉄イオンの量が多ければ、腐 食が進行しているということになります。そ れによると、一般塗装の蓋は、防食蓋の2倍 以上の鉄イオンの溶出量がありました。こう したことからも、金属塗装や樹脂塗装による 防食塗装には腐食抑制効果があるものと考え られます。 JSのマニュアル準用、劣化状況を目視判定 pH1の硫酸水溶液に30日間浸漬 ――今回の改正で位置づけた防食性能の試験 方法について教えてください。 腐食環境下にあるマンホールの9割以上を 占める一般的な腐食環境を想定し、JSの「下 水道コンクリート構造物の腐食抑制技術及び 防食技術マニュアル」で示されている「防食 被覆工法の品質規格」でⅢ類に適用する試験 方法を参考にしています。防食蓋の塗装厚は P R O F I L E【なかじま・よしなり】 昭和57年4月東京都入庁(下水道局)。平成18年7月東京都下水 道局計画調整部計画課長、20年7月日本下水道事業団派遣(東日 本設計センター長)、22年7月東京都下水道局基幹施設再構築事 務所長、24年7月中部下水道事務所長、25年7月建設部長、29年 8月計画調整部長、30年4月流域下水道本部長を歴任し、31年3 月末に東京都を退職。令和元年6月より現職。
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