G&U技術広報誌vol.15

2026 vol.15 G&U 32 Report 因は車両通過による衝撃の影響や老朽化や硫 化水素腐食等による劣化のほか、大量の雨水 が短時間で流入する異常内圧による蓋の飛 散・外れなどによるものです。このような不 具合はマンホールへの転落など人命にかかわ る事故につながる危険性もあり、再発防止に 向けた早急な対策が求められます。 古い蓋ほど不具合は生じやすい 老朽化進む大都市、中小でも増加懸念 ―設置年度と不具合の発生件数にはどのよ うな相関関係がありましたか。 概ね想定通りの結果ではありますが、不具 合は古いマンホール蓋ほど生じやすい、新し いマンホール蓋では起こりにくい傾向になり ました(図5)。不具合の内容として最多だっ た「がたつき」や 2 番目に多かった「段差」は、 上部の車両通行等に伴って進行していくと考 えられます。3番目の「腐食」にしても硫化 水素などにより経年的に進行していくことが 知られています。古い規格・構造の蓋ほど不 具合が発生しやすいという面もあるでしょう。 自治体規模別に見ると、大都市が最も多く なりました。もともとの管理基数が多いのに 加え、布設時期の古い蓋が多いのも一因と言 えます。そういった意味では、中小自治体で これらの不具合が今後どのように推移するか、 注意深く見ていく必要があります。 その他の不具合にもつながる腐食 管路とともに防食性能の確保が必要 ―お話のあった不具合の内容について、注 目すべき点を教えてください。 先ほどお示しした通り、がたつきが全体の 48.9%と最も多く、次いで段差が18.3%を 占めました(図6)。これらは蓋を開けなく ても発見できる不具合であり、巡視の際に発 見されたり、一般の通行者からの通報で確認 された、という側面もあろうかと思います。 個人的に気になるのは、3番目に多い腐食 です。割合としては11.7%ですが、がたつ きや段差、ロックの錆びつきによる「鍵構造 の機能不全」といった他の不具合の中には、 腐食が原因で生じたものもあると考えられま す。腐食により蓋がマンホールと固着し開か なくなり、維持管理に支障をきたすおそれも あります。八潮の陥没事故を受け、管路マネ ジメントの議論が本省の委員会で行われてい ますが、硫化水素による腐食は特に進行が早 いため、管路内で落差・段差がある箇所や圧 送管の吐き出し部分など、硫化水素が発生し やすい箇所における防食対策は非常に重要で す。望ましい防食性能については、2023年 に改正された日本下水道協会規格「下水道用 鋳鉄製マンホール蓋」(JSWAS G-4)や、日 本下水道新技術機構が2024年に発刊した「ア セットマネジメントの実践に向けた次世代型 マンホール蓋技術マニュアル」に盛り込まれ ていますので、これらを活用し、対策に取り 組んでいただければと思います。 大雨による不具合発生リスクの高まり 蓋の使い分けで幅広な防止対策を そのほか、割合としては 2.2% と多くない ものの、「浮上・飛散防止機能の不全」にも 注目すべきかと思います。他の不具合が年間 を通して概ね平均的に発生しているのに対し、 「浮上・飛散防止機能の不全」と「異常内圧」 に限っては、9月に際立って多く発生してい ます。台風や集中豪雨などにより大量の雨水 が短時間で管内に流入した結果、下水道管内 の内圧が急激に上昇し、蓋の飛散やマンホー ルからの水の噴出が発生するほか、圧力が極 めて高い場合には、蓋を支えている受枠ごと、 アスファルトを砕きながら道路から剥離・飛 散する事例も過去に確認されています。近年 は温暖化に伴う降雨の激甚化・頻発化により このような不具合の発生リスクが高まってい ると考えられます。 過去の研究でも大口径や延長が長い幹線、

RkJQdWJsaXNoZXIy Mjc4NTQzNg==