G&U技術広報誌vol.15

G&U技術研究センタ ー 都市の安全と安心を科学する技術広報誌 G&U Ground and Underground G&U技術研究センター 2 0 2 6 Vol.15 大規模な道路陥没事故を踏まえた メンテナビリティの向上 ~道路陥没事故と管きょ・マンホールのメンテナビリティ~

2026 Vol.15 CONTENTS 特集:大規模な道路陥没事故を踏まえた メンテナビリティの向上 ~道路陥没事故と管きょ ・マンホールのメンテナビリティ~ 巻頭言 表紙画像 表: nikkytok, 裏: FotograFFF / PIXTA(ピクスタ) 04 八潮の道路陥没事故を踏まえた 管路マネジメントのあり方 国土交通省 大臣官房参事官(上下水道技術) 本田康秀 氏 10 メンテナビリティの向上と マンホールの維持管理 日本大学 生産工学部土木工学科 教授 森田弘昭 氏 特集 02 八潮市の道路陥没事故から考える下水道の未来 東京大学大学院 工学系研究科都市工学専攻 特任准教授 加藤裕之氏

38 G&Uインフォメーション 16 全国特別重点調査に取り組む中で見えて きた管きょとマンホール蓋の課題 公益社団法人日本下水道管路管理業協会 常務理事 北村隆光 氏 24 市町村と連携した 多機能型マンホール蓋の活用 東京都下水道局流域下水道本部 技術部 土木施設管理担当課長 橋本 勝 氏 リポート 20 下水道管路メンテナンス技術の高度化・実用化に向けて 東京大学大学院 工学系研究科都市工学専攻 特任准教授 加藤裕之 氏 36 寄稿 下水道用鋳鉄製マンホール蓋製造者が望む マンホール蓋の性能および維持管理 一般社団法人日本グラウンドマンホール工業会 事務局長 大石直豪 氏 28 下水道マンホール蓋の管理と不具合対策の現状 ―令和5年度 下水道マンホール蓋管理基数及び 不具合等の発生状況に関する調査結果について 国土技術政策総合研究所 上下水道研究部下水道研究室 主任研究官 末久正樹 氏

2026 vol.15 G&U 2 巻頭言 失われた信頼、マイナスからのスタート 八潮の事故によって、下水道インフラに対 する社会的信頼は大きく損なわれました。何 事もなくて当たり前だと思われていたものが、 「実は危ないのではないか」という認識に変 わってしまった。報道を見ても、学生と話し ていても、そう感じます。 事故を踏まえ、老朽化対策に予算を投じた り、新技術の開発・実装を進めたりという動 きはあります。しかし、それだけでは不十分 で、「失われた信頼をどう回復するか」とい う視点が必要と私は思っています。これから プラスの方向に進むとしても、マイナスから のスタートだと捉えておくべきでしょう。 逆に言えば、あらためて光を当てるのは今 をおいてありません。では、安全・安心を確 保するため、老朽化対策をどう進めていくか。 現状は「ヒト・モノ・カネ」の全てが不足し ている状況です。人口が減り自治体の収入は 減少する一方で、老朽化施設は増え続けます。 投資対象が増加する一方で、予算も働く人も 減っていく。我々は非常に難しい局面への対 応を突きつけられています。 国の予算が多少増えようとも、老朽化した 施設は今後も右肩上がりで増え続けるでしょ う。維持管理にどうリソースを配分し、いか にコストを抑え、人手をかけずに行っていく か。真剣に考えなければならない時期が来て います。 メンテナビリティ確保へのメリハリ 八潮の事故の後に「メンテナビリティ」と いう言葉が出てきました。本当はもっと早く、 新設の時代から考慮するべきことだったんだ ろうと思います。遅きに失したと自責の念も ありつつ、多くの施設が改築更新を控える今、 現場で働く方々へのリスペクトをもってそれ を考えなくてはいけません。安全の確保とい う意味で、メンテナビリティは、絶対的に必 要なことだと考えています。 よって、今後の改築はこれまでと同じもの に入れ替えるだけではだめで、メンテナビリ ティを確保するための投資が必要になります。 これまでよりもコストがかかる以上、国が しっかり財政支援しなければ取り組みが進ま 東京大学大学院 工学系研究科都市工学専攻 特任准教授 加藤裕之 八潮市の道路陥没事故から考える 下水道の未来

2026 vol.15 G&U 3 八潮市の道路陥没事故から考える下水道の未来 ないでしょう。 しかし国の状況を見ると、財政全体として の収入は限られ、社会保障費は上がり続けて いる。公共事業にあてられる予算には限界が あります。どのインフラも「予算が必要」と 言うわけで、結局は枠の中での取り合いです。 都市開発などにはもっと民間資金を活用し、 基礎インフラに国費をあてるべきとは思いま すが、「必要だからください」「事故が起きて 大変なんです」と言うだけでは十分ではあり ません。どれくらい効率的にやろうとしてい るか、工夫と努力を見せなければならない。 これが「メリハリ」で、そのうえで「これだ けやっても足りないんです」というロジック を組み立てる必要があるでしょう。 地下インフラへの投資と市民理解 一方、自治体がこれまで以上の財源を確保 するには使用料の値上げが必要で、そのため には下水道のイメージを変えていく必要があ ります。市民から「負担してもいい」と言っ てもらえるような状況を作っていかなければ なりません。 全国の首長を見ていると、地上のまちづく りを一生懸命やるのに対して、地下のインフ ラにはあまり注目しない方が多いのではない でしょうか。本来、首長は下水道管理者です。 あらゆる活動の土台となる水インフラにもっ と目を向けてもらうため、下水道の現状や効 果を見える化していく必要があります。 水道は断水があると大騒ぎになりますし、 あふれ出す漏水も視覚的に目立ちます。とこ ろが下水道は、めったなことでは使用不能に はならないので、問題の存在が伝わりにくい。 加えて、水道は利用者が直接的に便益を受け ますが、下水道は別のところに効果が及ぶと いう特性があります。恩恵を受けるのは川の 下流だったり海だったりで、利用者自身には 効果が感じられないのです。 その意味で、下水道は公的な側面がより強 いとも言えます。だからこそ、このような構 造を理解してもらったうえで、公費をしっか りと使わせてもらいたい、と主張し続けるべ きだと思います。 ヒト不足解消へ、マンホール蓋も武器に モノとカネの話をしてきましたが、最も深 刻なのはヒトの問題です。そもそも人が入っ てこなくなっている。これは上下水道業界自 体が認知されていないからで、知られていな ければ選ばれようがありません。 ただ、経験則から言えば「業界として安定 している」という点は響きます。そのうえで、 事故を契機に新しいテクノロジーが広がりつ つあり、DXも進んでいくと説明すれば、興 味を持つ学生は必ずいます。 問題は、各関係者が思い思いにPRを行っ ていることです。アピールするポイントを絞 り、業界全体の共通認識とするべきでしょう。 安定した業界であり、個人としても成長でき る。ましてや「今あるストックをどうつくり 変えていくか」という面白い時代にやっと 入ったのです。危機が確実に迫っているから こそ、頑張った分だけ成果や問題解決を実感 できるはずです。 そこを業界一丸で伝えていくときに、大き な期待がかかるのがマンホール蓋です。誰も が目にするほぼ唯一の下水道施設として、重 要なシンボルになり得る存在だと考えていま す。 P R O F I L E 【かとう・ひろゆき】 早稲田大学大学院修了後、1986年建設省下水道 部に入省。滋賀県下水道課長、日本下水道事業団 計画課長、国土交通省下水道部下水道事業課町村 下水道対策官、同下水道事業調整官、同流域管理官、 同下水道事業課長などを歴任。日本下水道新技術 機構・新技術研究所長、日本コン・技術統括フェロー を経て、2020 年 4 月より現職。1960 年生まれ、 横浜市出身。

2026 vol.15 G&U 4 特集 道路陥没事故と管きょ・マンホールのメンテナビリティ 埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受 け、国土交通省では「下水道等に起因する 大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討 委員会」を設置し、「メリハリ」や「見える化」 をキーワードに管路マネジメントのあり方 を検討してきました。同委員会における各 種提言のポイントや、それらを踏まえた管 路マネジメントのあり方、具体的な方策に ついて、同省の本田康秀・大臣官房参事官 (上下水道技術)にお話を伺いました。 国土交通省 大臣官房参事官(上下水道技術) 本田康秀氏 八潮の事故を踏まえ有識者委員会を設置 全国特別重点調査も要請 ―八潮の道路陥没事故を踏まえた国の対応 について教えてください。 令和 7 年 1 月 28 日に八潮市で発生した道 路陥没事故は、現在も埼玉県で復旧作業が進 んでおり、国も財政面や技術面で支援を行っ ています。このような事故を二度と起こして はならない、という強い決意の下、事故の原 因となる事項を幅広く抽出し、点検・調査や 再構築の今後のあり方を検討する動きが始ま りました。その一環として、国土交通省では 有識者による「下水道等に起因する大規模な 道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」(委 管路八マ潮ネ のジ道路陥没事故を踏まえた メントのあり方

2026 vol.15 G&U 5 八潮の道路陥没事故を踏まえた管路マネジメントのあり方 員長:家田仁・政策研究大学院大学特別教授) を設置しました。また、同様の危険が想定さ れる流域下水道の一定規模以上の管路に対し ても緊急点検を実施しました。 3月17日にはこの委員会より第1次提言 が出されました。提言内容をもとに、国は各 自治体へ「下水道管路の全国特別重点調査」 を要請しています。 全国特別重点調査のポイントは以下の2点 です。 ①調査方法の強化 • ドローンなどの新技術を活用し、従来は 潜行目視できなかった箇所も適切に調査 •打音調査や空洞調査など目視以外の手法 も併用して物理的強度を確認 ②判定基準の強化 •これまでの日本下水道協会維持管理指針 よりも厳しい判定基準 提言では、損傷のしやすさや社会的な影響 なども考慮し、「布設から30年以上経過し た口径2mの大口径管(全国約5000km)」 を対象に 1 年以内の調査を行うこと、さらに 八潮の事故現場と同様の構造や地盤条件の箇 所(全国約 1000km)は「優先実施箇所」と して夏頃までの調査終了が求められています。 「メリハリ」をつけた点検・調査、再構築を メンテナビリティ確保などの視点も ―次に委員会による第2次提言について説 明いただけますでしょうか。 管路メンテナンスのあり方が示された第2 次提言は5月27日に家田仁委員長から国土 交通大臣へ手交されました。ポイントは以下 のとおりです。 ○メリハリをつけた点検・調査 •これまで下水道管路のメンテナンスにつ いては、平成24年の笹子トンネルの事 故も踏まえ状態監視保全の考え方を基本 としてきたが、今後はメリハリをつけ、 社会的影響 または 事後保全 点検の高頻度化 点検の高頻度化 点検方法の高度化 点検方法の高度化 ✓ 管理・埋設深さ・影響人口 ✓ 二次災害の恐れ(軌道下、 緊急輸送道路等)など ✓ 腐食環境 ✓ 布設年度 ✓ 地盤、地下水位 ✓ 構造変化点 ✓ 直近の点検結果 など 下水道管路の点検・調査の重点化とメリハリの考え方(第2次提言より) 管路 の安全 への ハザ ード ︵損傷 発生 のし やす さ︶

2026 vol.15 G&U 6 特集 道路陥没事故と管きょ・マンホールのメンテナビリティ 特に事故が発生した際の影響が大きい箇 所などに点検を重点化し、その他の箇所 では一部時間計画保全の考え方も採り入 れながら効率的に点検を進めていくべき •点検にあたっては、自動的に管内の異常 などが検知できるようなセンシング技術 の活用も重要 ○戦略的な再構築 •事故時の社会的な影響が大きい箇所の再 構築にあたっては、複線化などによりリ ダンダンシーを確保するとともに、メン テナビリティの観点から維持管理しやす い構造に切り替えていくべき ○その他 •人材不足や財政難にある自治体が今後老 朽化対策を進めていくうえで、無人化・ 省力化など技術開発への支援や、下水道 使用料等の適正化、広域連携や官民連携 を取り入れていくことも重要 なお国土交通省では、点検や再構築に関し て別途、「下水道管路マネジメントのための 技術基準等検討会」(委員長:森田弘昭・日 本大学教授)を設置し、具体的な基準等を議 論しています(令和 8 年 1 月 20 日に中間整 理を公表)。 こうした第 2 次提言の内容も踏まえ、6 月 に閣議決定された「第 1 次国土強靱化実施中 期計画」では、上下水道関連の新たなKPI として、管路の更新やリダンダンシー確保、 新技術の導入を含めた DX が追加されました。 また、令和 8 年度予算では重要管路の更新や リダンダンシー確保に関する制度の拡充が盛 り込まれ、7年度補正予算においても一部の 内容が前倒しで認められています。 マンホール蓋の大きさの見直しを 国土強靱化を進めていくうえで マンホールの付加価値も期待 ―第2次提言では、「メンテナビリティ」 に関して、マンホール蓋の大きさの見直しや、 多機能型マンホール蓋についての言及もあり ました。マンホール蓋に対するご見解をお聞 かせください。 大規模下水道システムにおけるリダンダンシー・メンテナビリティの確保(第2次提言より) ポンプ場 →処理場化 河川 下水 処理場 河川 多重化 ②連絡管 ①二条化 分散化 ④処理区の分割 ポンプ場を処理場化 ③調整池等における一時貯留 下水 処理場 ポンプ場 大口径かつ平常時の 管内水位が高い管路 分散化 多重化 管内水位低下による メンテナビリティの確保 大規模事故時など万一に 備えたリダンダンシーの 確保

2026 vol.15 G&U 7 八潮の道路陥没事故を踏まえた管路マネジメントのあり方 点検や更新工事を行っていくうえで、マン ホール蓋を機械の搬入を前提とした大きさに 見直すことは、メンテナビリティの観点から も重要だと思います。具体的な内容について は今後の検討になりますが、それを一つの基 準として、自治体に取り入れてもらう必要も あると考えます。現状はあくまで人が出入り する “ マンホール ” で、機械の搬入を前提と した “ マシンホール ” にはなっていないとい う現場の声も聞いたことがあります。 マンホール蓋を含むマンホールの構造には、 まだ開発の余地があると考えています。その 中でマンホール蓋まで目が行き届く余力とい う意味でも、技術開発にあたっては特に大都 市に期待しているところです。管きょ内の水 位等をリアルタイムで測定する「多機能型マ ンホール蓋」も東京都下水道サービスなどが 中心となって開発されました。先ほど点検・ 調査にあたって自動的に管内の異常などを検 知するセンシング技術の必要性についても言 及しましたが、マンホール蓋に対しては、国 土強靱化を進めていくうえでのさらなる進化 を期待しています。 また、老朽化対策の側面からマンホール蓋 が注目されていますが、近年は猛烈な雨に よって蓋が飛散する事象なども発生していま す。管路メンテナンスにおけるマンホール蓋 のあり方を考える一方で、豪雨対策としての 視点や取り組みも重要だと認識しています。 インフラマネジメントのあるべき姿示す 担い手確保や機運醸成の必要性も提示 ―続けて第3次提言の概要をお願いします。 委員会の最終提言にあたる第3次提言は、 12月1日に家田委員長から国土交通大臣に 手交されました。第 2 次提言を踏まえ、下水 道管路マネジメントの技術基準を国がつくる べきであるとの提言や、重要な箇所の点検・ 調査のあり方、再構築にあたっての複線化に よる多重性の考え方などが示されました。ま た、技術開発分野では、国がテーマを決め、 新技術が幅広く提案されるような支援や技術 の普及に向けた積算基準等の整備の必要性に ついても提言がありました。 【マンホールアンテナ技術概要】 【下水道:管路内水位監視例】 • 蓋にアンテナ(安定性/カバー率の高い4G回線)を設置。 • 蓋裏にバッテリーを格納でき、電源工事不要で使用可能。 ※流量計等消費電力の大きな機器を除く • 災害による停電時や現地までのアクセスが困難な状況におい てもPC等モバイル端末から状況を把握可能。 マンホールアンテナ 情報蓄積 クラウドセンター (情報管理サーバー) 表 裏 アンテナ 通信装置 バッテリー 水位計センサー 水位情報の観測 クラウド上の ソフトから 水位情報の リアルタイム監視 パソコン ポンプ運転指示 情報発信 ポンプ場 浸水危険区域 多機能型マンホール技術の概要(国交省「上下水道 DX 技術カタログ」より)

2026 vol.15 G&U 8 特集 道路陥没事故と管きょ・マンホールのメンテナビリティ キーワードとして、一つは第 2 次提言の説 明でも申し上げた、点検と再構築における「メ リハリ」です。これがあらためて強調されま した。もう一つのキーワードは「見える化」で、 管理者や担い手にとってのテクニカルな意味 の「見える化」と、これまで見えなかったイ ンフラの実態を市民にしっかりと公開し、使 用料負担などの理解につなげていくといった 2 つの意味が込められています。 合わせて第3次提言では、「メリハリ」と「見 える化」の考え方を、上下水道に限らず、イ ンフラ全体のマネジメントのあり方として展 開していくべきとの考え方も示されました。 ―第3次提言では、インフラマネジメント のあり方として、「メリハリ」「見える化」に 加え、「現場に『もっと光を』」や「モーメン タム」といった印象的なフレーズも盛り込ま れました。 八潮の事故を受けていくつかの自治体を訪 れ、ドローンなどの新技術を使った調査の現 場視察や、課題のヒアリングを行ったのです が、それを踏まえて個人的にも大事だと感じ たのが、第 3 次提言にも盛り込まれた「現場 に『もっと光を』」です。文字どおり、エッ センシャルワーカーに光を当てるという意味 もありますが、人材の確保をもっと意識すべ きといった思いも込められています。人の配 置を効率化して可能な限り自動化を導入する とともに、適正な経費の積算に重点を置くこ とで、担い手が離れずにしっかりと働ける。 この世界の実現が大事だと考えています。 「モーメンタム」は、機運や勢い、推進力 といった意味がありますが、八潮の事故を教 訓に、これを今後も維持して高めていかなけ ればなりません。特に下水道は「見えない世 界」と言われ続けてきましたが、見えない世 界には人やお金も集まってきません。八潮の 事故が起こったことはとても痛ましいことで す。同時に、政治やメディアなど世間から注 目を集めている現状をもっと人材やお金を確 保できる機運と捉え、これを失わないように していかなければならないと考えます。 新技術の普及促進へ、環境整備に注力 地域企業とベンチャー等企業のマッチ ングも ―「現場にもっと光を」や「モーメンタム」 の実現に向けても、新技術の普及促進は大き なカギを握っていると思います。新技術の導 入を進めるうえで、どのような点が大事だと お考えでしょうか。 いろんな観点があると思いますが、一つは “環境整備”だと思います。新技術の普及に 向けた環境整備については、委員会の提言を 踏まえ国交省が設置した「下水道管路メンテ ナンス技術の高度化・実用化推進会議」(委 員長:加藤裕之・東京大学大学院特任准教授) の中でも、技術開発に加え、自治体が発注す る際の標準仕様書の作成やビジネスモデルの 構築の重要性を認識し、議論を行っていると ころです。 地域企業と新たな要素技術を持つベン チャーなどの企業のマッチングも大事だと思 います。国土交通省でも同様の趣旨で「スター トアップチャレンジ」という取り組みを行っ ていますが、福岡市など自治体ベースで実施 しているところもあると聞いています。特に 管路管理の事業者はそうした出会いの機会が 少なく、情報収集も苦労されていると聞いて いますが、そこを国や自治体が結びつけるこ とで、新技術が導入しやすくなる環境をつ くっていければと考えています。 中小自治体を含め管路マネジメントに 本腰を 県や大都市を核とした広域連携にも期待 ―管路のインフラマネジメントについて自 治体に向けてメッセージがあればお願いしま す。 これまで下水道分野の維持管理では、多く

2026 vol.15 G&U 9 八潮の道路陥没事故を踏まえた管路マネジメントのあり方 P R O F I L E【ほんだ・やすひで】 昭和47年10月生まれ。東京大学工学部都市工学科卒業。 平成7年4月建設省入省後、 9年4月建設省関東地方建設局江戸川河川事務所係長、 10年8月建設省河川局河川計画課係長、 12年6月建設省下水道部係長、 14年4月国土交通省関東地方整備局横浜国道事務所 調査第一課長、 16年4月内閣官房安全保障・危機管理担当内閣事務官、 18年7月国土交通省下水道部課長補佐、 24年4月横浜市環境創造局下水道計画調整部担当課長、 26年4月国土交通省下水道部企画専門官、 28年4月埼玉県下水道局参事(下水道事業課長)、 30年7月日本下水道事業団計画課長、 令和元年7月国土交通省下水道部下水道事業調整官、 4年7月内閣官房新型コロナウイルス等対策推進室内 閣参事官、 5年7月国土交通省中国地方整備局河川部長、 7年4月国土交通省大臣官房付(上下水道審議官グルー プ)、同年7月より現職。 兵庫県出身。 の自治体が処理場やポンプ場に注力してきま した。今後は、管路マネジメントにも本腰を 入れて取り組んでいく必要があると考えてい ます。 人材不足の課題を抱える自治体で管路マネ ジメントを進めるには、民間の力を借りる必 要が出てきます。包括委託を発展させた ウォーターPPP(水の官民連携)を導入し ていくことも大事ですが、それをより効果的 にするには広域連携が重要になってきます。 小さな自治体では民間の力を適切に借り入れ ることが難しいため、都道府県が旗を振って 先導する、または、大規模な自治体が核になっ て広域連携を進めていくことを期待していま す。 分野は違いますが、広域連携の効果につい て分かりやすい例を一つ挙げると、島根県の 益田市、津和野町、吉賀町の 3 自治体が共同 で橋梁の点検業務を発注している案件があり ます。自治体の職員同士で現場の監督や発注 の管理などを役割分担することで、自治体の 業務の効率化を実現させるとともに、業務を 受託した民間事業者にとっても点検できる橋 梁が増え、業務の効率性が向上したと聞きま した。データの共有といった点も含め、官民 双方にメリットがあると感じました。 国土交通省が設置した「上下水道政策の基 本的なあり方検討会」(委員長:滝沢智・東 京都立大学特任教授)の第 2 次とりまとめが 1月20日に公表されましたが、この中でも「複 数自治体による事業運営の一体化」などの必 要性が謳われており、今後は本省としてもこ れらの施策を後押しする諸制度の見直しを進 めていく考えです。 ―ありがとうございました。

2026 vol.15 G&U 10 特集 道路陥没事故と管きょ・マンホールのメンテナビリティ 八潮市での道路陥没事故を契機に、下水道管路のメンテナビリティ 向上が喫緊の課題となっています。国の「下水道管路マネジメン トのための技術基準等検討会」で委員長を務める日本大学の森田 教授に、メンテナビリティの概念と、それを踏まえたマンホール・ マンホール蓋のあり方について伺いました。 日本大学 生産工学部土木工学科 教授 森田弘昭氏 メンテナビリティとは何か ―メンテナビリティという概念について教 えてください。 言葉の出どころは「下水道等に起因する大 規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員 会」(委員長:家田仁・政策研究大学院大学 特別教授)です。どうすれば再発を防げるの かと議論を進める中で、「大切なのは日頃の 点検・維持管理であり、損傷の兆候の早期発 見に努める必要があるだろう」という結論に 至りました。 対策検討委員会の委員には、家田委員長を 含めて、下水道が専門でない先生方が何人も いらっしゃいました。それもあって、八潮の 事故を「インフラ全体のメンテナンスのあり 方を考えるための啓示」と捉え、第 2 次提言 で大きな柱として打ち出したのがメンテナビ リティ、単純に訳せば「維持管理の容易性」 です。下水道の問題をインフラ全体に広げる メンテ ナビリティ の向上と マンホ ールの維持管理

2026 vol.15 G&U 11 メンテナビリティの向上とマンホ―ルの維持管理 ことを視野に、この言葉を使っていこうと考 えたわけです。 下水道で言えば、49 万㎞の管路、1700 万 基のマンホールを毎年のように点検するのは 不可能です。そのため、事故時などの社会的 な影響を踏まえて重点箇所を特定し、メリハ リをつけた効率的な点検・維持管理で予防保 全を図っていく。これを行うために必要とさ れるのがメンテナビリティだと考えています。 まずは危険箇所の把握を ―メンテナビリティの主眼は「点検のしや すさ」になるのでしょうか。 それもありますが、点検のしやすさは 2 つ 目の段階だと考えています。八潮の事故現場 に代表されるように、下水道管路にはどうし ても「調査困難箇所」が存在します。水量が 多かったり、硫化水素が発生していたり、そ ういった箇所では点検ができていないという のが実情です。 だとすれば、点検をどう行うかよりも、ま ずは「点検しなくてはいけない箇所を把握す る」ことが先決です。大昔につくられたもの や、今となっては基準から外れている材質の ものなど、リスクの高い箇所はある程度予想 がつきます。それをきちんと整理することが 重要でしょう。 そうして重点箇所から点検を始めようとす ると、調査困難箇所が出てきます。そこをど うしていくかが二つ目の段階です。 例えば、マンホールの設置間隔が離れてい て、点検時に人が長い距離を歩かなければな らない管きょが全国にはたくさんあります。 これは管理するうえで好ましくないので、中 間にもう一つマンホールを設ける。このよう な取り組みがメンテナビリティにつながると 考えています。ドローンなどの機械で点検す るにしても、マンホールが短いスパンで設置 されている方が望ましいことは明らかです。 もちろん、今の技術ではどうにも調査でき ない箇所も存在します。これに関しては、長 距離を飛行できるドローンやボート、それら に搭載する解像度の高いカメラ、位置測定や 画像解析といった技術開発が必要です。当面 は現在の技術でメンテナビリティを高めつつ、 技術の高度化を待つという流れになるでしょ う。 ―対策検討委員会の第3次提言(令和7年 12月)では「誰でも劣化の状況が現場でわ かる」ことの重要性も指摘されました。 その視点もメンテナビリティの一つだと言 えます。これまでの点検では、プロフェッショ ナルが「ここは大丈夫」「ここは危ない」と 判断してきましたが、そうした人材の育成に は時間がかかります。今の社会状況に鑑みる と、担い手が少ない状況でも点検・維持管理 を行えるような仕組みを考えるべきです。点 検から補修までの作業、あるいは判断の一部 を機械化・無人化していくことは、メンテナ ビリティの向上策の一つになると考えていま す。 マンホールはメンテナビリティの要 ―対策検討委員会の提言では、マンホール や蓋に関して多くの言及がなされている印象 があります。 管きょにアクセスする唯一の入り口・出口 ですから、当然ながらマンホールと蓋はメン テナビリティと密接な関係があります。 もう一つは、下水道の専門家でない委員の 意向が大きかったように思います。 委員会で事故現場を視察した際には、「こ んなに小さなマンホールから中に入るのか」 と驚かれ、労働環境の厳しい、危険な職場だ とお感じになったようでした。何かあったと きに逃げやすくする、あるいは救助に入りや すくする必要性を認識されたことが、提言に おいて特筆されたことにつながったと考えて います。

2026 vol.15 G&U 12 特集 道路陥没事故と管きょ・マンホールのメンテナビリティ 提言を具体策に落とし込む検討会 ―先生が委員長を務められている「下水道 管路マネジメントのための技術基準等検討 会」の位置づけは。 対策検討委員会の第 2 次提言では、リダン ダンシーとメンテナビリティという二つの柱 を立てました。これらの実現に向けて、技術 的な基準の見直しなどを検討するのが管路マ ネジメント検討会です。その意味では、対策 検討委員会の提言を具体化していく役割だと 言えるでしょう。 基準の見直しでは、どういった点検を行う べきか、どんな構造であれば人間や機材が出 入りしやすいか、といった検討を行っていま す。一方で、「仕組み」の見直しも検討事項 の一つだと考えています。 例えば管内の点検は、自治体による予算計 上の都合から、ドローン調査よりも人が入っ て調査する方が安価になります。しかし、作 業者が危険な目にあうのでは、持続的な点検 調査は不可能です。このような制度面を見直 し、より安全な仕組みを構築することも、メ ンテナビリティの向上策の一つです。 ―管路のメンテナビリティに関しては、対 策検討委員会の第3次提言で「事故時等の社 会的影響の大きい重要箇所」での対応が強調 されています。 管路マネジメント検討会では、点検にせよ 改築にせよ「全ての管路を対象とするのは難 しい」という前提に立ち、重要管路と枝線を 区分したうえで対応を検討し、今年 1 月に中 間整理を公表しました。この重要管路が、口 径が大きい、あるいは緊急輸送道路や鉄道軌 道下といった社会的影響の大きい管路となり ます。 さらに、重要路線の中で「要注意箇所」を 定め、点検の高頻度化や高度化を求めること としました。判断基準は、硫化水素が発生し やすい、管きょとマンホールとの接続部に構 造的な弱点がある、地盤条件が良くないと いったリスク要因の有無です。化学的・力学 的・地盤的という 3 つの弱点要素が重なった 箇所では、特に点検頻度を増やすこととして います。 つまり、重要管路の要注意箇所は「事故が 起こりやすいうえに社会的な影響が大きい」 ということです。そういった箇所の点検頻度 を高める、点検方法を高度化するといった対 応は当然のメリハリであり、必要な措置だと 考えています。 点検可能な間隔・構造が不可欠 ―1月の中間整理では、メンテナビリティ の確保・向上策として「マンホールの間隔や 構造の見直し」が挙げられています。 一般的な管路の場合、マンホールはおよそ 30m間隔で設置されています。ただ、推進 工法やシールド工法の場合、道路交通量や河 川横断などの状況を踏まえて1km以上の施 工を行うケースもあり、マンホールの間隔は 長くなりがちです。そうした箇所が調査困難 箇所になるわけです。 八潮の事故現場では 600m ほどのスパンで マンホールが設置されていましたが、管内の 水量が非常に多く、硫化水素も充満しており、 人が入るのはほぼ不可能でした。事故後の調 査にはドローンを使いましたが、中間にもう 1基マンホールがあれば、もっとスムーズな 調査ができたかもしれません。 こうした反省を踏まえて、特に重要管路に ついては割り込みマンホールを設置するなど、 点検が適切に行える環境を速やかに整えるべ きだと考えています。交通量の多い車道のマ ンホールについても、脇の歩道に点検用の割 り込みマンホールを設けることを検討すべき でしょう。こうした取り組みは、管きょの改 築を待たずに実施すべきです。 ―マンホールの構造や大きさについては「古 いものでは現在の規定を満たしていない、ま

2026 vol.15 G&U 13 メンテナビリティの向上とマンホ―ルの維持管理 たは不十分な場合がある」との指摘がありま した。 かつてのマンホールはコンクリートの現場 打ちで作られていたので、中には品質の良く ないものもあると思います。後になって構造 基準が作られた以上、それ自体はやむを得ま せん。ただ、マンホールは管路を維持管理す るうえでの基幹施設ですから、危険なものが 残っているとすれば大きな問題です。すぐに 点検し、必要に応じた補修を行わなくてはい けません。 蓋を含めた腐食対策が必要 ―安全面に関しては、マンホールのステッ プ(足場)の腐食も頻繁に話題に上っています。 八潮の事故現場の場合、もともとは小型の ボートを使ったフロート式調査を行っていた のですが、直近(令和 3 年度)の定期点検で はステップが腐食していて危険な状態であっ たことが報告されています。そのため、浮き 輪型の装置を投下して管内を撮影しました。 そうした経緯もあり、管路マネジメント検討 会では「マンホールにも腐食対策が必要」と いう認識が共有されました。この対象範囲に は、マンホールの躯体はもちろん、蓋を含め た付帯設備全般が含まれています。 管きょの腐食が天井部で進行しやすいのは、 管内の空気の対流によって硫化水素ガスが高 いところに輸送されるからです。マンホール に関しても、各種の条件や防食対策にもより ますが、最も高い位置にある蓋の内側が錆び るケースが少なくありません。したがって、 しっかりとした防食性能を備えた蓋を使用す る、材料で対応できなければ換気の仕組みを 整えるといった対策が重要です。 蓋の防食性能は「開閉のしやすさ」にも関 係しており、腐食が進むと受枠と固着し、開 けにくくなっていきます。そうした場合、ハ ンマーで軽く叩いて対応するのが一般的なよ うですが、叩きすぎて蝶番が取れてしまった という話もあるそうです。 さらに、腐食による劣化で蓋にがたつきが 下水道管路マネジメントのための技術基準等検討会の「中間整理」(令和8年1月)から抜粋(以下同)。メンテナビリティの 確保に向けた取り組みとして、マンホールの間隔や構造の見直しが例示されている 28 4.構造に関する基準等について 1 (1)「メリハリ」をつけた戦略的再構築の考え方 2 ○ 下水道管路は、状況把握に高い不確実性を伴う地下空間に布設されていることに加 3 え、下水中の硫化水素に起因して発生する硫酸は構造部材に激しい化学的腐食をも 4 たらすことから、各種のインフラ施設の中でもとりわけ過酷な状況に置かれた存在 5 である。このため、改築の機会を捉え、マンホールの間隔や構造を見直す等、下水道 6 管路のメンテナビリティ(維持管理の容易性)の確保に取り組むことを原則とする。 7 ○ また、限られた人員や予算の中で下水道管路を確実に管理するため、点検と同様に、 8 メリハリの考え方のもと、「重要管路」と「枝線」を区分した上で、特に事故時の社 9 会的影響の大きい「重要管路」では、下記の3つの取組を柱として戦略的再構築を推 10 進し、今後100年以上にわたり機能を維持することを目指して、強靭で持続可能な下 11 水道システムの構築を図る。 12 13 【「重要管路」における戦略的再構築の3つの柱】 14 ① リダンダンシー(多重性)の確保 15 災害・事故時の機能確保に加え、平時にも点検や改築等を確実・容易に行える 16 よう、既存の施設等を最大限活用しても水位を下げることができない箇所では、 17 リダンダンシー(多重性)を確保することを原則とする 18 ② メンテナビリティ(維持管理の容易性)の向上 19 施設管理を極力無人化・省力化することを前提に、改築の機会を捉え、メンテ 20 ナビリティ(維持管理の容易性)の確保・向上に取り組むことを原則とする 21 ③ 要注意箇所への対策 22 特に、要注意箇所では、改築の機会を捉え、新技術の積極的な活用等により、 23 各弱点要素への対策を強化とする 24 25 【「重要管路」の定義】(※再掲) 26 以下のいずれかに該当するものとする。 27 ⚫ 下水処理場~処理場直前の最終合流地点までの管路 28 ⚫ 流域下水道の管路 29 ⚫ 管径2m相当以上の大口径管路 30 ⚫ 緊急輸送道路下、軌道下、河川下の管路 31 32 【「枝線」の定義】(※再掲) 33 上記の「重要管路」以外の管路とする。 34 35 「メリハリ」をつけた戦略的再構築のイメージ 31 (3)メンテナビリティの確保・向上について 1 下水道管路は、各種のインフラ施設の中でもとりわけ過酷な状況に置かれた存在で 2 あることを踏まえ、改築の機会を捉え、マンホールの間隔や構造を見直す等、メンテ 3 ナビリティ(維持管理の容易性)の確保に取り組むことを原則とする。 4 ○ 「重要管路」においては、施設管理を極力無人化・省力化することを前提に、改築の 5 機会等を捉え、下記に例示する、メンテナビリティ(維持管理の容易性)の確保・向 6 上に取り組むことを原則とする。 7 ✓ 管路の埋設深について、ポンプ設備の適切な配置など、適切な深さを検討する。 8 ✓ マンホール間隔について、適切な間隔に見直す。また、改築の予定が無い場合に 9 おいても、割り込みマンホールの設置を検討する。 10 ✓ マンホール及びマンホール蓋の大きさや構造について、必要な資機材の搬入や 11 作業員の退避、酸素欠乏や硫化水素ガス対策等を十分に可能となるよう見直す。 12 ✓ 下水の流路の高低差が著しい箇所での副管設置など、工夫で改善できることは、 13 改築の機会を待たずに先送りせず取り組む。 14 ○ 加えて、センシング技術や管内水位を低下させる方策、メンテナンスしやすい仕組み 15 等について、検討や開発を進め、導入を促進する。 16 17 (参考)分散化によるメンテナビリティの確保について 18 ⚫ 「分散化」は、集合処理方式のうち一つの形態であり、既にあるポンプ場を処理 19 場に改修することによって、既にある集合処理方式の区域を分割して元の処理区 20 域から切り離し、その分割区域単独で汚水処理を自己完結的に機能させるもの。 21 ⚫ 「分散化」は、元の集合処理区域の下流側において、汚水流下量を減ずることで 22 管路内の水位を低下させて点検等を行いやすくすることから、メンテナビリティ 23 (維持管理の容易性)を確保・向上する方法の一つとなる。 24 25 26

2026 vol.15 G&U 14 特集 道路陥没事故と管きょ・マンホールのメンテナビリティ 生じ、摩耗や破損、事故の発生に至ることも 考えられます。腐食が進みやすいと考えられ る箇所については、管きょからマンホール、 蓋までを含めて、一体的な防食対策を講じる べきでしょう。 蓋の大型化で安全確保・高度化 ―蓋の大きさについては、「設置場所によ り適切な形状及び構造とすることが望ましい」 とされています。 ポイントは「開閉のしやすさ」と「入りや すさ」です。内径が 60cm しかない小さな蓋 は、急な水位上昇などが起きた場合、墜落防 止器具や換気設備の兼ね合いもあって脱出に 時間がかかります。特に重要管路など維持管 理を重点化すべき管路については、蓋を大き くしたり、中に踊り場を作ったりといったメ ンテナビリティの向上を図るべきでしょう。 内径 90cm の蓋は、出入りはしやすくなる のですが、重さが100kg以上となり、今度 は開閉が大変です。自治体によっては 90cm の親蓋の中に60cmの子蓋が埋め込まれた 「親子蓋」を採用し、状況に応じて使い分け ているそうで、これは有効な工夫だと考えら れます。 もう一つ、蓋の大きさと密接に関係するの がドローンです。分解したドローンをマン ホールや管きょの中で組み立て直すのは難し いため、調査に使用できる機体は蓋の大きさ で決まるそうです。機体の大きさは、飛行可 ① マンホールの間隔 1 【これまでの基準】※下水道施設計画・設計指針と解説(日本下水道協会) 2 ○ マンホールは、管きょ内の点検・清掃・修繕・改築等を行うために必要な施設である。 3 ○ 維持管理する上で必要な箇所のほか、管きょの起点及び方向又は勾配が変化する箇 4 所、段差が生じる箇所などに設ける。改築に際しては、維持管理情報等を踏まえ、適 5 切な配置とすることが望ましい。 6 ○ マンホールの間隔は、管きょの内径に応じた最大間隔が下記の通り示されている。 7 8 【課題】 9 ○ 推進工法やシールド工法等の技術開発に伴い、立坑用地確保難の解消、施工時の交通 10 規制や工事費の縮減等の観点から、マンホールが省略され、規定の間隔を大幅に超え 11 て長距離スパンとなる場合も多い。 12 ○ 長距離スパンとなると、点検や清掃では、テレビカメラ等による機械化が困難となる 13 場合が多く、潜行して作業するには作業員に過大な負担や危険性がかかる。また、修 14 繕・改築でも施工が困難となる場合がある。 15 16 【メンテナビリティの向上に向けて】 17 ○ 改築の機会を捉え、点検・清掃・修繕・改築等を行う上で適切な間隔に見直す。 18 ○ 長距離スパンで点検等に支障やリスクがあると判断する場合、改築の予定が無い場 19 合においても、割り込みマンホールの設置を検討する。 20 ○ 長距離スパンでの管内作業軽減のため、必要な資機材の搬入や酸素欠乏・硫化水素ガ 21 スの対策等を十分に可能とするよう、改築の機会を捉え、マンホールの大きさや構造 22 を見直す。 23 管きょ径別のマンホールの最大間隔 マンホールの間隔について、改築にあわせた見直しや、割り込みマンホールの検討などが提言された ① マンホールの間隔 1 【これまでの基準】※下水道施設計画・設計指針と解説(日本下水道協会) 2 ○ マンホールは、管きょ内の点検・清掃・修繕・改築等を行うために必要な施設である。 3 ○ 維持管理する上で必要な箇所のほか、管きょの起点及び方向又は勾配が変化する箇 4 所、段差が生じる箇所などに設ける。改築に際しては、維持管理情報等を踏まえ、適 5 切な配置とすることが望ましい。 6 ○ マンホールの間隔は、管きょの内径に応じた最大間隔が下記の通り示されている。 7 8 【課題】 9 ○ 推進工法やシールド工法等の技術開発に伴い、立坑用地確保難の解消、施工時の交通 10 規制や工事費の縮減等の観点から、マンホールが省略され、規定の間隔を大幅に超え 11 て長距離スパンとなる場合も多い。 12 ○ 長距離スパンとなると、点検や清掃では、テレビカメラ等による機械化が困難となる 13 場合が多く、潜行して作業するには作業員に過大な負担や危険性がかかる。また、修 14 繕・改築でも施工が困難となる場合がある。 15 16 【メンテナビリティの向上に向けて】 17 ○ 改築の機会を捉え、点検・清掃・修繕・改築等を行う上で適切な間隔に見直す。 18 ○ 長距離スパンで点検等に支障やリスクがあると判断する場合、改築の予定が無い場 19 合においても、割り込みマンホールの設置を検討する。 20 ○ 長距離スパンでの管内作業軽減のため、必要な資機材の搬入や酸素欠乏・硫化水素ガ 21 スの対策等を十分に可能とするよう、改築の機会を捉え、マンホールの大きさや構造 22 を見直す。 23 24 25 割り込みマンホールのイメージ 管きょ径別のマンホールの最大間隔 上からの平面図 下水の流れ 既設 マンホール 既設 マンホール 割り込み マンホール 既設 管路 断面図 既設 管路 割り込み マンホール 地上 割り込みマンホールのイメージ 管きょ径(mm) 600 以下 1,000 以下 1,500 以下 1,500 超 最大間隔(m) 75 100 150 200

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