G&U技術広報誌vol.15

2026 vol.15 G&U 37 下水道用鋳鉄製マンホール蓋製造者が望むマンホール蓋の性能および維持管理 の「全国特別重点調査」において、腐食環境 下の下水道管路を点検する際、酸素ボンベを 背負った作業者や、カメラ・ドローン等の機 器が入坑するには、現状主流である有効内径 600mmのマンホール蓋では作業性が低いと の意見が多数寄せられました。 また、古い設計では「口径倍率係数(管径 ×約120倍)」に基づきマンホールの設置間 隔が決定されていたため、大口径管ほどマン ホール間距離が長くなり、不具合箇所の特定・ 補修が困難となるケースが生じています。 さらに、腐食環境下にある下水道管路施設 は、下水道法により5年に1度以上の点検 が義務付けられており、より安全・確実な点 検体制の構築が求められています。 以上を踏まえ、点検・調査頻度の高い腐食 環境下のマンホール蓋については、有効内径 を600mmからJSWAS G-4にある900mmお よび 900-600mm の親子蓋へ拡大するととも に、マンホール設置間距離の適正化をご検討 いただくことを望みます。 3.【事業継続性】老朽化蓋350万基の 「先行更新」による財政・供給の平準化 全国の下水道管路延長は令和3年度末で約 49 万 km、マンホール蓋は約 1,600 万基と推 定されています。このうちがたつき防止や、 浮上・飛散防止機能が備わっていない老朽化・ 陳腐化したマンホール蓋は約350万基、10 年後の令和 13 年度には約 700 万基に達する と推定しています。国土交通省が定めるマン ホール蓋の標準耐用年数は、車道用15年、 歩道用30年ですが、年間の改築数は約10 万基にとどまり、全数改築には160年、老 朽化分のみでも 35 年を要する状況です。 マンホール蓋に起因する事故・不具合は、 平成13年から令和6年までの24年間で約 1,250 件(下水道賠償責任保険が適用された ものに限る)が報告されており、事故の内訳 ではマンホール蓋と周辺舗装との段差が最も 多く、次いでマンホール蓋の外れ・跳ね上が りによる事故となっており、両者とも冒頭申 しました腐食が原因の一つと推測されます。 さらに、近年はゲリラ豪雨によるマンホー ル蓋の飛散事故も相次いで発生しており、飛 散した蓋による車両・人身事故や、蓋がない マンホール内への転落等の重大事故も想定さ れます。八潮市のような管きょではなく、マ ンホール蓋を要因とした痛ましい事故を起こ さないためには、計画的に蓋の更新を進める ことが重要であり、まずは老朽化した350 万基を早期に更新することが不可欠です。 また、長期的な視点では「供給網の維持」 も課題です。マンホール蓋の需要減に伴い メーカー数は当工業会の会員に限ってもピー ク時の半数以下(20 社)まで減少しています。 将来、建設のピーク(平成10年頃)の山が 更新のピークとなると、マンホール蓋の供給 能力不足で事業が滞るおそれがあります。 標準耐用年数が短く、事故や不具合も散見 されるマンホール蓋の更新を今から平準化し て進めることは、以下の 3 つのメリットをも たらします。 1.即効性のある安全確保(市民の安全・不 具合リスク低減) 2.財政支出の平準化(将来のピークカット) 3.安定供給体制の維持(メーカーの供給責 任確保) 4.さいごに マンホール蓋は、市民生活と道路交通の安 全を支える最重要施設の一つです。昨今はデ ザインマンホール等が注目を集め、付加価値 等の側面が評価されておりますが、八潮市の 事故が示した通り、本来の機能維持こそが最 優先課題です。「安全な蓋がなければ、下水 道も道路も機能しない」という原点に立ち返 り、マンホール蓋の計画的な維持管理と更新 が恒常的に実践されることを強く望みます。 ※文中の数値表記は令和 7 年末現在、推計は当工業会による

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