2026 vol.15 G&U 11 メンテナビリティの向上とマンホ―ルの維持管理 ことを視野に、この言葉を使っていこうと考 えたわけです。 下水道で言えば、49 万㎞の管路、1700 万 基のマンホールを毎年のように点検するのは 不可能です。そのため、事故時などの社会的 な影響を踏まえて重点箇所を特定し、メリハ リをつけた効率的な点検・維持管理で予防保 全を図っていく。これを行うために必要とさ れるのがメンテナビリティだと考えています。 まずは危険箇所の把握を ―メンテナビリティの主眼は「点検のしや すさ」になるのでしょうか。 それもありますが、点検のしやすさは 2 つ 目の段階だと考えています。八潮の事故現場 に代表されるように、下水道管路にはどうし ても「調査困難箇所」が存在します。水量が 多かったり、硫化水素が発生していたり、そ ういった箇所では点検ができていないという のが実情です。 だとすれば、点検をどう行うかよりも、ま ずは「点検しなくてはいけない箇所を把握す る」ことが先決です。大昔につくられたもの や、今となっては基準から外れている材質の ものなど、リスクの高い箇所はある程度予想 がつきます。それをきちんと整理することが 重要でしょう。 そうして重点箇所から点検を始めようとす ると、調査困難箇所が出てきます。そこをど うしていくかが二つ目の段階です。 例えば、マンホールの設置間隔が離れてい て、点検時に人が長い距離を歩かなければな らない管きょが全国にはたくさんあります。 これは管理するうえで好ましくないので、中 間にもう一つマンホールを設ける。このよう な取り組みがメンテナビリティにつながると 考えています。ドローンなどの機械で点検す るにしても、マンホールが短いスパンで設置 されている方が望ましいことは明らかです。 もちろん、今の技術ではどうにも調査でき ない箇所も存在します。これに関しては、長 距離を飛行できるドローンやボート、それら に搭載する解像度の高いカメラ、位置測定や 画像解析といった技術開発が必要です。当面 は現在の技術でメンテナビリティを高めつつ、 技術の高度化を待つという流れになるでしょ う。 ―対策検討委員会の第3次提言(令和7年 12月)では「誰でも劣化の状況が現場でわ かる」ことの重要性も指摘されました。 その視点もメンテナビリティの一つだと言 えます。これまでの点検では、プロフェッショ ナルが「ここは大丈夫」「ここは危ない」と 判断してきましたが、そうした人材の育成に は時間がかかります。今の社会状況に鑑みる と、担い手が少ない状況でも点検・維持管理 を行えるような仕組みを考えるべきです。点 検から補修までの作業、あるいは判断の一部 を機械化・無人化していくことは、メンテナ ビリティの向上策の一つになると考えていま す。 マンホールはメンテナビリティの要 ―対策検討委員会の提言では、マンホール や蓋に関して多くの言及がなされている印象 があります。 管きょにアクセスする唯一の入り口・出口 ですから、当然ながらマンホールと蓋はメン テナビリティと密接な関係があります。 もう一つは、下水道の専門家でない委員の 意向が大きかったように思います。 委員会で事故現場を視察した際には、「こ んなに小さなマンホールから中に入るのか」 と驚かれ、労働環境の厳しい、危険な職場だ とお感じになったようでした。何かあったと きに逃げやすくする、あるいは救助に入りや すくする必要性を認識されたことが、提言に おいて特筆されたことにつながったと考えて います。
RkJQdWJsaXNoZXIy Mjc4NTQzNg==