G&U技術広報誌vol.15

2026 vol.15 G&U 13 メンテナビリティの向上とマンホ―ルの維持管理 たは不十分な場合がある」との指摘がありま した。 かつてのマンホールはコンクリートの現場 打ちで作られていたので、中には品質の良く ないものもあると思います。後になって構造 基準が作られた以上、それ自体はやむを得ま せん。ただ、マンホールは管路を維持管理す るうえでの基幹施設ですから、危険なものが 残っているとすれば大きな問題です。すぐに 点検し、必要に応じた補修を行わなくてはい けません。 蓋を含めた腐食対策が必要 ―安全面に関しては、マンホールのステッ プ(足場)の腐食も頻繁に話題に上っています。 八潮の事故現場の場合、もともとは小型の ボートを使ったフロート式調査を行っていた のですが、直近(令和 3 年度)の定期点検で はステップが腐食していて危険な状態であっ たことが報告されています。そのため、浮き 輪型の装置を投下して管内を撮影しました。 そうした経緯もあり、管路マネジメント検討 会では「マンホールにも腐食対策が必要」と いう認識が共有されました。この対象範囲に は、マンホールの躯体はもちろん、蓋を含め た付帯設備全般が含まれています。 管きょの腐食が天井部で進行しやすいのは、 管内の空気の対流によって硫化水素ガスが高 いところに輸送されるからです。マンホール に関しても、各種の条件や防食対策にもより ますが、最も高い位置にある蓋の内側が錆び るケースが少なくありません。したがって、 しっかりとした防食性能を備えた蓋を使用す る、材料で対応できなければ換気の仕組みを 整えるといった対策が重要です。 蓋の防食性能は「開閉のしやすさ」にも関 係しており、腐食が進むと受枠と固着し、開 けにくくなっていきます。そうした場合、ハ ンマーで軽く叩いて対応するのが一般的なよ うですが、叩きすぎて蝶番が取れてしまった という話もあるそうです。 さらに、腐食による劣化で蓋にがたつきが 下水道管路マネジメントのための技術基準等検討会の「中間整理」(令和8年1月)から抜粋(以下同)。メンテナビリティの 確保に向けた取り組みとして、マンホールの間隔や構造の見直しが例示されている 28 4.構造に関する基準等について 1 (1)「メリハリ」をつけた戦略的再構築の考え方 2 ○ 下水道管路は、状況把握に高い不確実性を伴う地下空間に布設されていることに加 3 え、下水中の硫化水素に起因して発生する硫酸は構造部材に激しい化学的腐食をも 4 たらすことから、各種のインフラ施設の中でもとりわけ過酷な状況に置かれた存在 5 である。このため、改築の機会を捉え、マンホールの間隔や構造を見直す等、下水道 6 管路のメンテナビリティ(維持管理の容易性)の確保に取り組むことを原則とする。 7 ○ また、限られた人員や予算の中で下水道管路を確実に管理するため、点検と同様に、 8 メリハリの考え方のもと、「重要管路」と「枝線」を区分した上で、特に事故時の社 9 会的影響の大きい「重要管路」では、下記の3つの取組を柱として戦略的再構築を推 10 進し、今後100年以上にわたり機能を維持することを目指して、強靭で持続可能な下 11 水道システムの構築を図る。 12 13 【「重要管路」における戦略的再構築の3つの柱】 14 ① リダンダンシー(多重性)の確保 15 災害・事故時の機能確保に加え、平時にも点検や改築等を確実・容易に行える 16 よう、既存の施設等を最大限活用しても水位を下げることができない箇所では、 17 リダンダンシー(多重性)を確保することを原則とする 18 ② メンテナビリティ(維持管理の容易性)の向上 19 施設管理を極力無人化・省力化することを前提に、改築の機会を捉え、メンテ 20 ナビリティ(維持管理の容易性)の確保・向上に取り組むことを原則とする 21 ③ 要注意箇所への対策 22 特に、要注意箇所では、改築の機会を捉え、新技術の積極的な活用等により、 23 各弱点要素への対策を強化とする 24 25 【「重要管路」の定義】(※再掲) 26 以下のいずれかに該当するものとする。 27 ⚫ 下水処理場~処理場直前の最終合流地点までの管路 28 ⚫ 流域下水道の管路 29 ⚫ 管径2m相当以上の大口径管路 30 ⚫ 緊急輸送道路下、軌道下、河川下の管路 31 32 【「枝線」の定義】(※再掲) 33 上記の「重要管路」以外の管路とする。 34 35 「メリハリ」をつけた戦略的再構築のイメージ 31 (3)メンテナビリティの確保・向上について 1 下水道管路は、各種のインフラ施設の中でもとりわけ過酷な状況に置かれた存在で 2 あることを踏まえ、改築の機会を捉え、マンホールの間隔や構造を見直す等、メンテ 3 ナビリティ(維持管理の容易性)の確保に取り組むことを原則とする。 4 ○ 「重要管路」においては、施設管理を極力無人化・省力化することを前提に、改築の 5 機会等を捉え、下記に例示する、メンテナビリティ(維持管理の容易性)の確保・向 6 上に取り組むことを原則とする。 7 ✓ 管路の埋設深について、ポンプ設備の適切な配置など、適切な深さを検討する。 8 ✓ マンホール間隔について、適切な間隔に見直す。また、改築の予定が無い場合に 9 おいても、割り込みマンホールの設置を検討する。 10 ✓ マンホール及びマンホール蓋の大きさや構造について、必要な資機材の搬入や 11 作業員の退避、酸素欠乏や硫化水素ガス対策等を十分に可能となるよう見直す。 12 ✓ 下水の流路の高低差が著しい箇所での副管設置など、工夫で改善できることは、 13 改築の機会を待たずに先送りせず取り組む。 14 ○ 加えて、センシング技術や管内水位を低下させる方策、メンテナンスしやすい仕組み 15 等について、検討や開発を進め、導入を促進する。 16 17 (参考)分散化によるメンテナビリティの確保について 18 ⚫ 「分散化」は、集合処理方式のうち一つの形態であり、既にあるポンプ場を処理 19 場に改修することによって、既にある集合処理方式の区域を分割して元の処理区 20 域から切り離し、その分割区域単独で汚水処理を自己完結的に機能させるもの。 21 ⚫ 「分散化」は、元の集合処理区域の下流側において、汚水流下量を減ずることで 22 管路内の水位を低下させて点検等を行いやすくすることから、メンテナビリティ 23 (維持管理の容易性)を確保・向上する方法の一つとなる。 24 25 26

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