G&U技術広報誌vol.15

2026 vol.15 G&U 20 特集 道路陥没事故と管きょ・マンホールのメンテナビリティ 東京大学大学院 工学系研究科都市工学専攻 特任准教授 加藤裕之氏 下水道管路メンテナンス技術の 高度化・実用化に向けて 管路分野の技術開発が加速 ―八潮の事故が下水道技術に及ぼした影響 をどのようにお考えですか。 下水道施設の中でも、特に管路に目が向け られるようになったと思います。もともと資 産額ベースでは管路が7割を占めるのです が、これまでは水処理や汚泥、エネルギー利 用など、処理場に関するテクノロジーの研究 開発の方がどちらかと言えば盛んでした。こ れは国のB-DASHプロジェクトの採択実績 を見ても明らかです。 それが事故を機に、管路分野の技術に注目 が集まり、新しい製品やサービスも次々と出 てくるようになりました。もはや把握しきれ ないほどですが、各社が競い合い、より良い ものを生み出そうとしているのはとても良い 状況だと思います。 とはいえ、どんな技術であっても、その一 つだけで現場の諸課題を解決するのは不可能 です。管路の老朽化対策をとっても、モニタ リングからエリアの絞り込み、詳細な調査、 状況の判定、そして設計・改築まで、実にい ろいろな技術が存在します。大事なのは、そ れらをどう組み合わせていくかだと考えてい ます。 目標は「管内 No Entry」 ―事故を踏まえた対策検討委員会の第3次 提言では、先生が以前から提唱されていた「管 内No Entry」が点検・調査の将来的な目標 として掲げられました(表)。 これからの下水道には、安全面での絶対性、 現場で働く人へのリスペクトが不可欠です。 これを強く思うようになったのは、昨年 3 月、 秋田県発注の管路工事で3名の作業員が亡く なった事故がきっかけでした。その後の安全 対策検討委員会で委員長を務めさせていただ き、実際の事故現場を視察したり、再発防止 策を提言したりしたのですが、最も強く感じ たのは「地下には見えない危険が潜んでいる」 ということです。我々の知識や経験の及ばな い危険がまだあるかもしれない。秋田の事故 で言うと、後々に事故原因は酸素欠乏の可能 性が高いことがわかりました。初期の見立て として、また私自身も直感的に「硫化水素か な?」と思いましたが、要因は別にあったの です。 埼玉県八潮市での道路陥没事故や秋田県 での工事事故を受けて、管路メンテナン スにおけるメンテナビリティの確保が急 務となっています。その中で安全性と効 率性を両立するためには、新技術の開発・ 実装が必要不可欠だと言えるでしょう。 国土交通省の「下水道管路メンテナンス 技術の高度化・実用化推進会議」で委員 長を務める東京大学大学院の加藤特任准 教授に、めざすべき技術開発の方向性と、 その中でのマンホール蓋への期待につい て伺いました。

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