2026 vol.15 G&U 21 下水道管路メンテナンス技術の高度化・実用化に向けて 【表】「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」第3次提言より抜粋 (国交省資料より、以下同) 未知の要因に対してどこまで対応できるか というと、やはり限度があります。わからな い以上は「そもそも人が入るべきではない空 間だ」と捉えるしかない。これが個人的な結 論です。 今後ますます人材不足は顕著になっていき ます。仕事とはいえ、若い方が日々管内に 入って働いてくれるかというと、徐々に難し くなっていくでしょう。秋田や八潮のような 事故を二度と起こさないために、そして業界 の未来を考えた時にも、将来的なコンセプト は「管内No Entry」しかないと考えています。 昨年たまたまシンガポールに行き、上下水 道を管理しているPUB(シンガポール公益 事業庁)の方と話す機会があったのですが、 彼らは最新技術の活用度合いを測るため「管 内に入らずに維持管理を行えている割合」を 指標の一つとしていました。現在の達成率は 50%弱にとどまるものの、目標は 100%だそ うです。 それを聞いて、あらためて「これを日本で も常識にしないといけないな」と思いました。 もちろん「管内No Entry」が簡単でないこ とはわかっていますが、目標は 100%である べきですし、そこに向けた進捗をしっかり 測っていかなければならないと思います。 技術開発サイクルの確立をめざす ―対策検討委員会のもとに設置された「下 水道管路メンテナンス技術の高度化・実用化 推進会議」では、具体的にどのようなことに 取り組んでいるのですか。 まず、自治体や維持管理企業から聞き取り を行い、適切かつ安全な点検・調査・維持管 理に向けて求められている技術を整理しまし た。同時に、次々と現れる新技術の情報をシー ズとして把握し、ニーズとのマッチングを図 ろうとしています。具体的に何をするかとい うと、ニーズを踏まえて高度化・実用化をめ ざすべき技術をいくつかのカテゴリに分類し、 4.具体的方策の考え方 (3)下水道管路の点検・調査技術の高度化・実用化 〇人材確保が難しい中での効率的な管路マネジメントの実現と、硫化水素の発生など下水道の過酷な環境を 改めて鑑みると、可及的速やかに各種の技術開発を行う必要がある。 〇さらに将来的には、人が管路に入らなくても精度の高い点検・調査を行うことができる「管内No Entry」 を長期的な目標に置いて、無人化・省力化、DXに向けたドローンやAI診断技術などの技術の高度化・実 用化を進めるべきである。 〇経時的な変化を捉えるために、前回の点検・調査時点と比較して劣化がどう変化したか自動検出できる光 ファイバーなどのセンシング技術やモニタリング技術の開発を推進すべきである。 〇新たに開発された技術が確実に現場で実装されるよう、ビジネスモデルの構築とともに、国や関係団体が 連携して技術指針・マニュアルなどの図書・基準類を体系的に整備するといった普及促進環境の整備も進 めるべきである。 〇海外技術や他分野技術など、幅広い視点で有効な技術の活用を検討すべきである。 〇特に管路内調査の積算基準については、機器を搬入し自動で調査を行うことを前提とした経費の考え方や、 やむを得ず過酷な環境下で人が作業を行う場合の経費の考え方などを検討すべきである。
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