G&U技術広報誌vol.15

2026 vol.15 G&U 34 Report マンホール蓋の空気孔面積が小さい箇所でこ れらの不具合が発生しやすいことが明らかに なっています。国総研としても、対策の優先 順位や各種の蓋の使い分けなどを示した「マ ンホールの安全対策検討フロー図(案)」を 作成し、2024 年に HP で公開していますので、 検討にあたって参考としていただければ幸い です。 不具合の6割で点検等の実績なし 予防保全型維持管理への転換を ―そのほかの調査項目の中で、特に気に なった結果はありますか。 維持管理においては、点検調査の実施履歴 が極めて重要です。一方、今回確認された 540 件の不具合のうち、57.1% が「点検調査 の実績無し、または不明」であり、対応が後 手に回りがちな現状が窺えました(図7)。 また、図 1 でお示ししたとおり、マンホール 蓋全体の半数近くがすでに設置後30年以上 経過している状況です(設置年度不明を除く)。 八潮市で発生した陥没事故以降、下水道の 本管が注目されがちですが、老朽化したマン ホール蓋についても適切な維持管理が行われ なければ劣化が進行し、公衆への被害のおそ れがあることは言うまでもありません。膨大 なマンホール蓋を維持管理することは容易で はありませんが、経過年数、布設環境、蓋の 規格・種類といった情報を踏まえ、不具合が 生じやすい箇所を事前に洗い出すとともに、 管路の点検調査とあわせて効率的にマンホー ル蓋の状態を監視するなどメリハリをつけて 劣化状況を把握し、計画的に改築を行う予防 保全の推進が求められます。 ―最後に、自治体にメッセージをいただけ ますでしょうか。 管路管理を担当される皆様には、平素より 各種データの収集等にご協力いただき、あら ためて感謝申し上げます。今回公表したマン ホール蓋の維持管理状況を含め、必要な情報 を継続的に公開していくことが、国民の関心 の向上、ひいては私たちの仕事や必要な投資 に対する理解の促進につながっていくものと 考えています。 予防保全のPDCAを回していくための第 一歩は、マンホールの位置や蓋の設置年度、 維持管理履歴といった情報のデータベース化 です。管路の点検調査にあわせてマンホール 蓋の状態にも目を向け、情報を着実に蓄積し ていくことが重要です。その情報をもとにリ スクを判定し、次回以降の点検調査に反映、 必要に応じて取り替えを進める。あわせて、 履歴や外部の技術資料などを踏まえ、飛散防 止機能や転落防止装置を採用する。こういっ た取り組みを、管路マネジメントの一部とし て進めていただければと思います。 なお、自治体によってはマンホール等の不 具合を市民が撮影して報告するシステムやマ ンホール蓋の変遷表等を活用し、効率的に情 報を収集している事例もあります。国総研と しても、マンホール蓋の維持管理の優良事例 や有用な技術情報を収集・共有し、自治体の 皆様のお力になれるよう、必要な取り組みを 進めてまいります。引き続きよろしくお願い いたします。 ―ありがとうございました。 P R O F I L E 【すえひさ・まさき】 平成16年3月九州大学大学院工学府都市環境システム工学専攻修了、18年4月 国土交通省入省。令和2年4月岡山市下水道河川局次長、4年4月国土技術政策 総合研究所下水道研究室主任研究官、同年9月国交省下水道部下水道企画課企画 専門官などを経て、7年7月より現職。福岡県出身。

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